花粉症患者が増加し、日本の国民病になった大きな要因が、飛散するスギ花粉の量が増加したことにあるのは間違いないでしょう。しかし、花粉症患者が増加した原因は、原因物質( アレルゲン)であるスギ花粉の増加以外にも実はたくさんあります。
昔の日本人の食生活は、米や野菜を中心としたもので、現在と比べるとずっと「低脂質」で質素なものでした。しかし、食生活の西洋化が進んだことによって日本人の「脂質」の摂取量は何倍にも増えました。たとえば、肉類で比較すると、近年の日本人の摂取量は戦前の1935年と比較した場合に14倍、そして、1960年と比較しても5倍以上にも増えているのです。
この西洋化した「高脂質」の食事がアレルギー疾患を持つ日本人を急増させているといわれています。多くの研究者が、動物性脂質の摂り過ぎがアレルギー疾患を増加させていることを解明していますから間違いないでしょう。体内で脂肪酸が増加すると、体内に異物(アレルゲン)が入ってきた時にアレルギー反応を引き起こす物質が増加するのが、その理由のようです。
また、糖類や様々な加工食品に含まれている 食品添加物の摂取が増えたことも花粉症をはじめとするアレルギー疾患の患者数を増加させているようです。
日本の主要食料の1人当たり年間供給量(単位:kg)
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昭和10年
(1935)
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昭和21年
(1946)
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昭和35年
(1960)
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昭和55年
(1980)
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平成12年
(2000)
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平成21年
(2009)
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米
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126.3
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92.7
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115.0
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78.9
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64.6
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58.5
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小麦
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10.6
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14.6
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25.8
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32.2
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32.6
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31.8
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いも類
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28.1
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60.6
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32.3
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17.3
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21.1
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18.4
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野菜
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74.8
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55.1
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99.6
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112.2
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101.5
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91.7
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果物
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22.3
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6.9
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22.3
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39.2
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41.5
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39.2
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魚介類
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13.9
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9.3
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27.8
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34.6
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37.2
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30.0
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肉類
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2.0
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0.9
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5.0
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22.5
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28.8
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28.6
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鶏卵
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2.3
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0.4
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4.9
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14.7
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17.0
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16.5
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牛乳・乳製品
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3.2
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1.6
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22.3
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62.1
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94.2
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84.8
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砂糖類
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13.3
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0.9
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15.1
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23.3
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20.2
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19.3
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油脂類
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0.8
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0.1
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4.3
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13.8
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15.1
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13.1
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みそ
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8.7
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6.0
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4.3
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3.5
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しょうゆ
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13.6
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11.0
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8.2
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6.6
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資料:農林水産省「食料需給表」
出展:農林水産省ホームページ(http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/syokuzai.html)
国立環境研究所では、ディーゼル粒子などの 大気汚染が花粉症に及ぼす影響についてモルモットを使って実験を行っています。そして、清浄な空気の部屋で飼育されたモルモットよりも汚染された空気の部屋で飼育したモルモットの方が、花粉症の症状が出やすく、症状の悪化も起こりやすいという実験結果が出ています。
汚染された空気の部屋で飼育されたモルモットの方が鼻水の量が増え、アレルギー反応の時に出てくる炎症細胞も増加していたようです。
(参照=国立環境研究所サイト内 https://www.nies.go.jp/fushigi/050504.html)
なお、大気汚染物質が付着した花粉は、付着していない花粉よりも体内に侵入した時にアレルギー反応を強く起こすようです。
過度なストレスは、人間の身体から正常な免疫力を奪っていき、アレルギー疾患の発症を促します。人間関係や仕事で継続的にストレスを受けていると、自律神経が乱れてしまうためです。
ブラック企業と呼ばれるような従業員に過酷な労働を強いる企業が横行し、非正規労働者が増大し、あちこちでリストラが頻繁に行われ、少子高齢化が加速する日本が、たいへんなストレス社会になっていることは疑いようがありません。
現在の日本で花粉症をはじめとするアレルギー疾患に悩む人が増加の一途をたどっている一因は、日本がたいへんなストレス社会になっていることにあったのです。
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